欲をミタす
さみしくって堪らなかった。あの頃の気持ち。
素直に甘えたかった。大人の目?そんなの、どうだっていい。
周りに人がいるから?そんなの関係ない。
いま私は甘えたい。
そんな気持ちに答えてやれなかったんだなぁ。
三角家に泊まって気がついた。
素直に人に頼ることもできず、勝手に強がって傷ついた。
だから爆発するようにしか人に応えられない。
辛いよ、そういう機会はたくさんあったのに言うことも甘えることも遠慮していた。
あぁ。私はこうやって、あまえたかったんだ。そう気づいた。
素直にその感情を表したかったんだって。
寂しかったね。そういって今なら素直に小さな私をなぐさめ抱き締めることができる。
恋愛しても、すべてをその人にさらけ出すことができず、この私はあの人担当、あの私はこの人担当、と何人かに少しずつ私を表現した。
嫌われてもいい。そんな覚悟ができなかったんだ。
甘えたい。好かれたい。透かれたい。わかってほしい。寂しい。愛されたい。気がついてほしい。何もかも認めてほしい。
そう思っていた。
いまなら自分で自分を赦して、自分のしたいを叶えてあげられる。
自分と結婚式。
おめでとう私。
誰かに受け入れるでもなく、私が私に振り上げた拳や刃をおろすとき。
突き刺さったと思っている矢はとっくに抜けているの。
自分の体のラインをなぞり、一つずつ確認していく。
何度同じ場面にぶち当たったっていい。
あのときの私と今の私、どっちが優れているかなんて関係ない。
あの頃はサボってた?は?誰に向かってイッテんの?
必死にあのときだって生きてたじゃない。
それが今生きてる証拠。
まだ本気出してない?なら今すぐ出せば?
あなたがあなたにしている言い訳は、あなたの最大ののびしろ。
今すぐやってみな。
あんたの足、そこについてるよ。
わかんないなら一緒に探そ。
すべてを知る事なんてできなくっていい。
ただ知ろうとする気持ちがあるなら聞けばいい。
不器用だって。人見知りだって。今はできなくたって、他人に伝わらなくたって。
自分の、聞いてみたい、知りたい、やってみたいの片鱗をとらえて表現することで変わるしかない渦へと巻き込まれていく。
一滴の水を垂らすか。風をふかせるか。
波紋の作り方だって人それぞれでいいんだ。
波紋が拡がらないわけがないんだから。
欲を充たすって、そういうこと。